元官製ワーキングプアが経験を語ってみた。

こんにちは、元官製ワーキングプアのみ~すけです。ここ数年官製ワーキングプアが問題視されていますが、どんな状況なのか実体験を交えながら解説していきます。

官製ワーキングプアとは

官製ワーキングプアとは

公的機関に勤務する、非常勤職員、民間委託の被雇用者のことを指します。

安い賃金で正規職員と同等の仕事を任せられたり、雇い止めで仕事を辞めないといけない不安定な雇用形態が問題視されています。労働契約法やパート労働法が適用されないことから、法の規制から抜け落ちた存在であることが問題視されています。

はたから見ると公的機関=安定と思われがちですが、実際はそれほど優遇された状態ではありません。

私が勤務していた自治体は、まだ、条件が良い方でしたが、それでもお給料はとても安く、他にアルバイトをしないときりきりの生活でとても一人暮らしは厳しい状態でした。

自治体の非常勤職員はどのような人が多いのか

  • 主婦の人がパート感覚で働く
  • 独身の人はほぼ実家暮らしで、尚且つ生活費をいれなくてもよい生活水準の人

中には、シングルマザーの人もいますが、やはり実家から援助してもらっていましたね。私はというと、実家に生活費をたくさん入れないといけないので、休みの日はアルバイトをしていました。(非常勤職員は正規公務員ではないので、アルバイトしても大丈夫でした。)

全体的にみて、子育て中の主婦や子育てが終わってちょっと働きたい人、若い子でいえば、中流家庭以上の人が多いような気がしました。

また、若い人は正規公務員を目指しながら非常勤で務めている人もいましたね。

年齢層は結構高めです。民間企業だと事務職に関していえば、せいぜい40歳くらいまでを求めがちですが、官公庁に関しては60歳くらいまでは採用されるので、事務職をしたいけど、民間では雇ってもらえない年齢の高い方が必然的に増えてしまうような気がします。

非常勤職員の福利厚生

私が務めていた自治体に関していえば、

アルバイト:雇用期間数ヶ月~1年。 有給・ボーナスなし。 雇用保険・社会保険加入。

臨時職員:アルバイトから数ヶ月経つと臨時職員に切り替わる場合があります。 雇用期間:1年くらい。 有給は年10日。ボーナス:寸志。雇用保険・社会保険加入。

任期付職員:試験を受けて採用されれば最大5年勤務可能。有給は年20日。ボーナス:約4.5ヶ月。 雇用保険・社会保険加入の他、産休・資料休暇など正規職員に準じた待遇あり。仕事内容は、正規職員とほぼ同等に近い。

ほかの公的機関では、有給が発生しないよう1年働いたら6ヶ月休むというような働き方をさせられる所もあるようです。

公的機関は法律に基づいてしか動けないので、結構はっきりしています。ただ、民間の派遣よりはお給料も安いですが、長く働いていると、雇用が切れても優先で次の仕事を紹介してもらえる場合もあります。

非正規職員の増加

 

地方自治体の非正規職員は2016年の時点で、約64万3000人に達しています。2005年の約45万6000人から4割以上も増え、行政の現場は「5人に1人」が非正規職員になっています。

人件費を削る為、非正規職員がかなり増加しています。私が勤務していた部署でも1/3は非正規職員でした。窓口は主に非正規職員の仕事になりつつあります。

私も窓口で対応している時に、「自分らはボーナスもらえてええなぁ。」といわれたことがありますが、当時はアルバイトだったのでボーナスなどなく、、微妙な心境になったことがあります。

自治体は、正規職員を減らすかわりに、これからますます非正規職員を増やしていく傾向にあるようです。賃金がもう少し改善されたらまた、官公庁でアルバイトしてもいいかなぁって思ったりしますね。話はそれますが、人間関係は結構大変ですけど。。。(年齢層が高いのと、とても保守的な環境であること。リストラがないせいか、結構好き放題言う人が意外に多い。)

正規職員との給料格差

これは、かなり差があります。公務員は年功序列で特に出世しなくても、勤務年数と共に給料が上がっていきます。

一方、非正規職員は有期雇用なので、ほとんど給料が上がることはないです。まぁ、当然と言えば当然ですが。

中には「公務員試験を通った正規と、非正規の待遇がちがうのは仕方がない。」という声もあります。

私も、この意見には賛同です。正規職員といっても、公務員の給料は元々それほど高くなく、組織の中で大変な思いをしながら、勤務し続けることによって得たそれなりの給料なので、その点に関しては全くうらやましいとは思いません。ただ、あと2,3万給料が上がったらうれしいなぁとは思いますね。

 

公的機関全体で見れば、非正規職員の給料は年間約200万前後で、場合によれば、100万を切ってしまうこともあるみたいです。

 

小学校の臨時職員をしている。勤務時間は1日5時間で時給1.210円。夏休みなど長期の休みには仕事がないため年収約80万円。アルバイトの掛け持ちもしたが身体が持たず、いまは生活保護を受けながら教師を続けている。

 

こちらは、ある官製ワーキングプアの集会で発表された一例です。教師といえば専門職なので、もっとお給料をもらってもよさそうなのですが。やはり少子化や財政難が影響しているのでしょうか。

また、非正規公務員の給与は「物件費」として予算に計上されているそうです。

「物件費」って。。。なんか品物みたいですな。

法に守られない非正規職員

私も、自治体に勤務している時、正規職員から暴言を浴びせられたり、嫌がらせをうけたことが何回かあります。(リストラされないのも一理あるかと思います。)もちろん、素晴らしい人格の方も多いですが。

私は、泣き寝入りしないタイプなので、組織の上の方にご報告しましたけど(笑)。

どうしていいかわからない人達は結局泣き寝入りして、うつ病になったりしてしまう人もいます。

やはり、正規職員は守られているような感じはしますね。非正規は使い捨てですから。

 

以前、北九州市の元非常勤職員が、うつ病の末自殺したケースがありました。

ご両親が、自殺は過重な業務負担や上司のパワハラが原因だとして、市に労災請求したのですが、市は「条例上、非常勤職員や遺族に請求権はない。」と回答してきました。

母親は、当時の総務省の野田聖子大臣に手紙を書くと、すぐ返事が戻ってきて、「子を持つ親として、大切な命が失われる不幸をなくす」という言葉と、「非正規公務員に対する不合理な対応を見直すよう、各自治体に求めるつもりだ。」という趣旨がつづられていたそうです。

実際に全国の自治体宛に関連の条例の見直しを求める通知が出されました。

 

日本国憲法第14条 法の下の平等

すべて国民は、法の下に平等であって、人種・信条・性別・社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない。
とありますが、法律に深く携わっている自治体が、そんな対応をしたら問題ですよね。
さらに、公務員は全体の奉仕者として国民に尽くす義務があるのだけれど。。。。
自治体の組織全体をもっと見直して欲しいものです。

韓国ソウル市の取り組み

ソウル市でも非正規公務員が増加していますが、2011年以降、段階的に正規化する政策が進んでいます。まず、市の非正規職員約1400人を雇用期限に定めのない無期雇用に転換し、賃金アップを実現しました。さらに、清掃や警備など市の外部委託先で働いていた労働者を、市の関連子会社の直接雇用とした後、無期転換させました。

この結果、人件費は確かに増えたけれど、委託にかかっていた管理経費が大幅にカットされたそうです。

なるほど、これは良い取り組みだと思います。これからますます非正規職員が増えていく中、日本でもこのような取り組みをしていく必要があると思いました。

なんか、私情を挟みながら長々と書いてしまいましたが、今回はこれにて失礼いたします。

 

参考:ヤフーニュース「役所がワーキングプアを生んでいる」地方公務員5人に1人が非正規に

 

 

 

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